artscapeレビュー
秋岡芳夫全集3 銅版画
2015年04月01日号
会期:2015/02/14~2015/03/22
目黒区美術館[東京都]
目黒区美術館では2011年に工業デザイナー秋岡芳夫の全貌を概観する展覧会を開催し、その翌年から「秋岡芳夫全集」として個別の仕事を掘り下げる展示を開催してきた。今回の「秋岡芳夫全集3」は、その銅版画作品に焦点を当てる。秋岡が妻とともに銅版画作品をつくっていたのは1950年代で、彼が童画を描いていた時期と重なる。彼は関野準一郎が主宰する火葬町銅版画研究所で版画の技法を磨き、日本版画協会、春陽会版画部、日本銅版画協会に所属していたという。秋岡の作品が版画界でどのように評価されうるのか私にはわからないが、彼の童画と同様、あるいはそれ以上にシュールな作風はとても魅力的だ。残されているスケッチや試刷を見ると作品が完成するまでに繰り返し繰り返し手が入れられていたことがわかる。秋岡の銅版画制作がこの時期に留まるのは、1953年に工業デザイン事務所KAKを結成し、多忙になったためであろうか。秋岡の表現への幅広い関心を物語る作品群である。[新川徳彦]
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2015/03/22(日)(SYNK)