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あざみ野フォト・アニュアル 新井卓 Bright was the Morning ─ ある明るい朝に

2017年03月15日号

会期:2017/01/28~2017/02/26

横浜市民ギャラリーあざみ野[神奈川県]

「あざみ野フォト・アニュアル」の7回目は新井卓の個展。新井の特徴は際立っていて、ひとつはダゲレオタイプ(銀板写真)を使うこと、もうひとつはおもに原発や原爆に関連するモチーフを撮っていること。今回はさらに見せ方にも工夫を凝らしている。《Here and There─明日の島》シリーズは、会場が暗いうえ銀板なのでなにが写ってるのか判然としない。そこで近づいてみると、センサーで天井から吊り下がった電球が灯り、六ヶ所村や原発事故周辺を写した風景写真が見える。この明かりを灯すエネルギーも原発だったら、とふと思う。と同時に銀板だから自分の顔も映し出され、否応なく自分が原発と向き合わざるをえなくなる仕掛けだ。一方、《明日の歴史》シリーズは広島と南相馬の子供を撮ったポートレートだが、こちらはセンサーではなく自動的に明かりが少しずつ移動していき、明かりが灯ってるあいだ、その子供のインタビュー音声が流れる仕掛け。そこまでやる必要あるか? とも思うが、新しい試みとして評価したい。ほかに記憶に残る作品が2点。《2014年3月23日、比治山公園より西北西に見かけの高度570mの太陽、広島》は、長いタイトルどおり、原爆が爆発した高度に太陽が見かけの上で達した瞬間を捉えたもの。画面の中心よりやや上に、いまだ核融合を起こし続けている太陽が刻印されている。恐ろしい写真だ。もう1枚、《2012年2月25日、陸前高田の松》は津波で1本だけ残った松を撮ったものだが、意図したものかどうか知らないけれど、これがキノコ雲に見えてならない。

2017/02/25(土)(村田真)

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