artscapeレビュー
panorama すべてを見ながら、見えていない私たちへ
2010年11月01日号
会期:2010/09/18~2010/10/24
京都芸術センター[京都府]
内海聖史、押江千衣子、木藤純子、水野勝規を擁した企画展。絵画、映像、インスタレーションという、タイプの異なる作品をさまざまな環境で提示し、作品を「見ること」の意味を問い直した。会場は元小学校をリフォームしたアートセンターで、南北2つのギャラリーに加え、エントランス、廊下、談話室、和室と、ほぼ全館を使用した。カラフルな点の集積で豊かな空間をつくり上げる内海、見る者の内面に浸透するような情景を描く押江、グラスなど透明感のある素材の小オブジェを、そっと添えるように提示する木藤、日常とは異なる時間の流れが感じられる映像が持ち味の水野、四者の個性が響き合い、得も言われぬ芳香が空間を満たしていた。見る順序を変えれば、また新たな感興を得られる気配も。ボリュームは決して大きくないが、濃密な味わいで深い充足感が得られる好企画だった。
2010/09/22(水)(小吹隆文)
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