artscapeレビュー

遊園地再生事業団『ジャパニーズ・スリーピング』

2010年11月01日号

会期:2010/10/15~2010/10/24

座・高円寺[東京都]

テーマは「眠り」。ある男が眠りについてのインタビューを続ける。男はあるときから不眠症に陥っており、インタビューはそこからの脱出策を模索してのものらしい。この男の不眠症は、友人が集団練炭自殺で亡くなったかも知れないという思いに端を発し、ときに「眠り」というモチーフは「死」の問題へと変換されもする。テーマは面白い。眠るという行為と演じるという行為は相反する関係にある、などといった原理的な問いが展開されることを期待した。ただし、思いの外そうはならず、既存の演劇の方法論が取り出されては用いられていった。同じ服を着た眼鏡男3人がひとつの役柄のセリフを分け合ったり、不意に激しい叩き合いがはじまったり、あるいはカメラを舞台上にあげてライブ画像を上映したり。ビュッフェのプレートのごとくバラエティに富んでいる。とはいえ、なぜその方法を用いるのかについて必然性が乏しい。そう思ってしまうのは、台詞回しや「巫女的」に女性を扱う仕方など、案外旧時代の演劇的なものが温存されているからかもしれない。

2010/10/22(金)(木村覚)

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