2022年05月15日号
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artscapeレビュー

ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス展

2010年11月01日号

会期:2010/09/18~2010/12/25

金沢21世紀美術館[石川県]

映像作品《事の次第》でよく知られた二人は、必ずしもヴィデオの作家ではない、むしろ彫刻の作家ととらえるべきかもしれない。彼らの作風がもっとも端的に表われているのは「グレイ・スカルプチャー」と呼ばれるポリウレタン製の彫刻群だろう。中が空洞で、お尻の穴から覗くとくり抜いた顔のパーツが見える作品《動物》や湾曲していて覗いても向こうが見えない作品《管》は、見るとなんだか情けない気持ちになる。脱力系? そう、知的な解釈も可能に違いないだろうが、作品に向き合って沸いてくる率直な感想は「へたれてるなー」。《不意に目の前が開けて》も90点の粘土作品がテーブルに並ぶ彫刻群。空想譚もポテトチップスもすべて同じ粘土で、似たようなサイズで表象されている。チープな素材が実現するイメージの世界、それはなにかを「可視化」させるという営みそのものの面白さとばかばかしさを同時に示している。ところどころに用意された失笑のポイントを通して、彼らが見る者に気づかせようとしているのは、「見ること」や「つくること」というきわめて基本的な行為の最中なにが起きているのかということだろう。それら二つを媒介するのが彫刻という存在に違いない。《事の次第》は、そう考えると動く彫刻の映像化なのであって、「見ること」と「つくること」の相互作用が緊張感を保ち、そのことが作品の強度を生み出している。

2010/10/24(日)(木村覚)

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