2022年07月01日号
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artscapeレビュー

諸国畸人伝

2010年11月01日号

会期:2010/09/04~2010/10/11

板橋区立美術館[東京都]

18~19世紀にかけて活躍した「畸人」たちによる絵を集めた企画展。曽我蕭白や白隠をはじめ、菅井梅関、林十江、佐竹蓬平、加藤信清、狩野一信、祗園井特、中村芳中、絵金の10人による作品48点が展示された。大きくいえば、いずれも辻惟雄がいう「奇想の系譜」に位置づけられる奇天烈な絵ばかりで、おもしろい。とくに、井特(せいとく)による太い眉毛の美人画や絵金の血みどろの芝居絵屏風、芳中(ほうちゅう)の丸みを帯びた独特の描線などに見応えがあった。ただ、それ以上に深く印象づけられたのは、信清と一信を除き、彼らはみな地方で制作していたという事実だ。作者の説明を記したキャプションにはわざわざ「陸奥」「常陸」「信濃」などと併記されていたから、企画者があえてこの点を強調しようとしていたことが伺える。制度的にも地政学的にも、畸人は中央よりもむしろ地方で育まれた。このことは、地方に在住しながら制作に勤しむ現在のアーティストたちにとっての希望の原理である。

2010/10/11(月)(福住廉)

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