2019年07月15日号
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artscapeレビュー

ニューアート展2010「描く─手と眼の快」

2010年11月01日号

会期:2010/09/30~2010/10/19

横浜市民ギャラリー[神奈川県]

2006年から横浜市民ギャラリーが毎年企画している「ニューアート展」。今年は、1984年生まれの赤羽史亮と1921年生まれの石山朔の作品をそれぞれ展示した。一見して分かるのは、双方の作品が好対照だということ。赤羽が暗い色と厚みのあるマチエールでアニメキャラクターなどを描くのに対し、石山は強烈な色彩によってダイナミックな抽象画を描く。陰鬱で抑圧された若者と爆発的に解放された老人ということなのか。たしかに石山の初期作を見ると、赤羽ほど黒いわけではないが、色彩はいずれも淀んでおり、筆致の運動性は見られるものの、現在のような重層性は見出せないから、若年の暗さから老年の明るさという図式は、ある程度妥当するように思える。とはいえ、石山の最新作は画面の構成も色の重なりや発色も、以前と比べて若干トーンダウンしているように見えたので、必ずしも無限に明度を高めていくわけでもないようだ。繊細で傷つきやすい内面を外側に表出するという点では、実年齢にかかわらず、どんなアーティストにも通底しているのだろうが、石山がすぐれているのは、それを絵画のみならず小説、フラメンコ、そしてカンツォーネといったさまざまなアートで表現しているからだ。石山の抽象画に感じられる音楽的な律動には、カンツォーネが内側に抱える哀しみがある。

2010/10/02(土)(福住廉)

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