artscapeレビュー

石上純也──建築のあたらしい大きさ

2010年11月15日号

会期:2010/09/18~2010/12/26

豊田市美術館[愛知県]

午後から愛知県芸術文化センターでコンペの審査があるため、早めに家を出て午前中に豊田市美へ行く。石上は今年のヴェネツィア・ビエンナーレ建築展で金獅子賞をとり、資生堂ギャラリーでも個展を開くなど、いまもっとも旬の建築家。最初の部屋の《雲を積層する》は、細い針金を高く組み上げ、あいだに薄い布を幾層にも敷いた建築。これはアリから見た雲のイメージをスケールアップしたもの。ちゃんと自立してるからスゴイ。でも最後の大きな展示室の《雨を建てる》はもっとスゴイ。太さ0.9ミリの柱54本を太さ0.02ミリのワイヤーで支えるという超絶プランだ。が、オープニング当日にあえなく倒壊。ぼくが見に行ったときは修復中だった(その後完成したという)。ヴェネツィアでも同様の作品を組み立て、同じく倒壊したらしい。こんな建築家に設計を頼む人っているんだろうか。そもそも彼を建築家と呼んでいいのか。脱建築家とか。

2010/10/02(土)(村田真)

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