artscapeレビュー
名和晃平「Synthesis」
2010年11月15日号
会期:2010/09/24~2010/10/30
SCAI THE BATHHOUSE[東京都]
手前の部屋には壁に雨模様みたいな粒々をびっしり描いた紙が貼られている。一見プリントかと思ったが、近づいてみると、コーヒーを1滴ずつこぼした跡みたいな偶然のきれいな円になっている。どうやってつくったんだろう。奥の部屋には透明な球をまとった鹿の全身像と首から上の剥製が計3点。例のヤツか、と思ったら、なんか変。脚も角も異常に多い。2匹分をダブらせているのだ。もともと表面に球を貼りつけて輪郭を曖昧にした上ダブって見えるから、乱視になったのかと思った。逆にいえば、この作品は物体のほうを乱視化したものだといえる。
2010/10/29(金)(村田真)