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岡崎和郎 展「補遺の庭」

2010年11月15日号

会期:2010/09/11~2010/11/03

神奈川県立近代美術館鎌倉[神奈川県]

岡崎和郎というと「ひさし」くらいしか知らなかったが、彼の作品は「ひさし」も含めて「御物補遺(ぎょぶつほい)」という概念に集約されるらしい。「御物補遺」とは、従来のオブジェでは見落とされてしまったなにかを補足するようなオブジェを制作することをいう。よくわからないけど、彫刻の鋳型を思い浮かべればいいかも。たとえば《ウィリアム・テルに捧ぐ》という作品はリンゴの型を抜いた石膏に穴を開けたもので、これは見ればわかる。額縁や手形を型どった作品もわかりやすいが、よくわからないのが「ひさし」だ。わからないなりにおもしろいとは思うが。いずれにせよ、シュルレアリスムとコンセプチュアル・アートがねじれて合体したような、その意味では日本ならではのアーティストといえる。

2010/10/26(火)(村田真)

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