artscapeレビュー
中川運河キャナルアート
2010年11月15日号
名古屋市中川区舟戸町・岡谷鋼機株式会社 第三倉庫[愛知県]
会期:2010 年10月30日-31日(ただし30日は雨天のため延期)
かつての賑わいを失ってしまった名古屋の中川運河周辺の貴重な水辺空間を、広く知ってもらうために開かれたアートイベント。雨天のため初日のイベントは延期となったが、岡谷鋼機の倉庫を舞台に、映像インスタレーション、大茶会、トークイベント、ライブパフォーマンスなど多彩なイベントが行なわれた。実際に使っている倉庫の一部という空間がまず面白く、迫力のある空間が記憶に残った。一方、会場から運河そのものは遠目に見える程度だったので、イベントとしては、運河を散策させるような仕掛けがあればよいのではという点も感じた。水辺空間の再生という目的がはっきりしているのだから、瀬戸内国際芸術祭やあいちトリエンナーレなど、大規模な芸術祭の縮小再生産ではないかたちが求められているのではないかと思う。産業遺産の活用や、都市構造の再編など、重要なソーシャル・イシューも含まれる。今回が第0回ということなので、来年以降、どのような展開を見せるのかが楽しみである。
2010/10/31(日)(松田達)