artscapeレビュー
Digital Tea House展
2010年11月15日号
会期:2010/10/21~2010/10/26
リビングデザインセンターOZONE(7F リビングデザインギャラリー)[東京都]
東京大学とコロンビア大学による合同ワークショップにおいて製作された茶室の展示。隈研吾研究室を中心とした東大の2チームは実物と模型を展示、コロンビア大のチームはパネルと模型展示。RhinocerosやGrasshopperといった最新ソフトウェアを用いたデザインにより、デジタルファブリケーションに挑戦したことが特徴的であった。コロンビア大のパネルでは、Grasshopperによるシナプスの結合図のようなプログラムに、さらに解説を加えた図面(?)が展示されていたのは印象的だった。形の生成過程を示す、新しいタイプの図面であるともいえる。同時に、初期条件と最終形態がダイレクトに結びつき、いつでもそれらを同時に変更可能であるというパラメトリック・デザインの真意も理解できるものである。一方、東大チームの2案も、基本的に同じようなソフトウェアと手法から生まれてはいるが、パラメトリック・デザインそのものよりも、最終的に全体の建築としての完成度を重視しているように思え、個人的にはその点に共感を覚えた。すべてではないが、どうしてこういう形になったのか? という問いへの答えとして、コロンビア大チームの根拠が「初期値」に見えたのに対し、東大チームはどちらも「空間的な要請」であったように感じられた。現時点でのパラメトリック・デザインの受容の日米の違いのようにも感じられて興味深い。なお「チーム洗濯板」は壁のうねりが美しく、かつ機能的な要請にも対応できる点における展開力もあると感じられ、「チーム換気扇」は天井から漏れる光をデザインに転化していた点が面白く、また自然光の下でも空間を体験してみたいと感じられた。
2010/10/26(火)(松田達)