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大野浩志「在り方・現れ方」

2011年02月01日号

会期:2011/01/15~2011/02/05

CAS[大阪府]

大野の作品は、木の板や棒などに焼きを入れたり、一色の絵具を塗るという、シンプルな方法で制作されている。シンプルと言っても決してイージーではない。《since》と題されたシリーズでは、表現性を排除して均一に塗る行為を、制作年から現在までずっと継続しているのだ。長年塗り重ねられた表面には、盛り上がり、波打ち、ストライプなど、人為を超えた表情が現われる。そのたたずまいは、まさに本展のタイトル通り「在り方・現れ方」と呼ぶしかないものだ。地元大阪で6年ぶりに開催された個展では、《since 1997〈無限柱〉》が出品された。そして壁面には、現在まで継続されている全シリーズの写真資料も。聞けば、昨年香川県のソフトマシーン美術館で行なわれた個展で《since》シリーズの全作品が展示されたとのこと。その情報を知らなかったことが悔やまれる。次に同様のチャンスがあれば是非とも見に行きたい。

2011/01/17(月)(小吹隆文)

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