artscapeレビュー

大友良英「アンサンブルズ2010──共振」

2011年02月01日号

会期:2010/11/30~2011/01/16

水戸芸術館現代美術センター[茨城県]

久々に肩透かしを喰らった。大友良英による水戸芸術館の展覧会と聞けば、否がおうにも期待が高まるが、しかし同展の内容はじつに浅薄。ポータブルレコードプレイヤーを中心に構成された展示は、静かなノイズを聴かせる装置を並べるもので、その単純な連続が鑑賞の経験をじつに退屈なものにしてしまっている。レコードやCD、カセットテープなどの新旧の音楽メディアを神殿のように再構成した作品も、発想が安直であるうえ、とりわけ神聖性も感じられないし、かといってジャンクアートとしての迫力にも欠けている。もしかしたら展覧会の核心は大友によるライヴや市民とのコラボレーションにあるのかもしれないが、そうであるなら美術館の展覧会であることのエクスキューズとしてしか思えない中途半端な展示など、思い切って最初からやめておくべきだろう。大友良英以後のためにも、非物質的な音楽を物質を展示するための美術館という制度に落とし込むことについて、よりいっそう熟慮を重ねるべきである。

2011/01/14(金)(福住廉)

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