artscapeレビュー
アルブレヒト・デューラー版画・素描展─宗教・肖像・自然─
2011年02月01日号
会期:2010/10/26~2011/01/16
国立西洋美術館[東京都]
オーストラリアのメルボルン国立ヴィクトリア美術館が所蔵する作品を中心に、アルブレヒト・デューラーの版画と素描を見せる展覧会。デューラーが芸術の本質として唱えた「宗教・肖像・自然」という三つのセクションに分けて、あわせて150点あまりが公開された。《メランコリアI》をはじめ、キリストの生涯を描いた連作《受胎告知》を一挙に見ることができたのはもちろん、それ以上に圧巻だったのが《マクシミリアン一世の凱旋》。40数枚もの版画をつなぎあわせたこの作品は高さ3mを超える大作で、鑑賞者を文字どおり見下ろすほどの圧倒的な迫力を醸し出しながらも、細部の描写がひじょうに丁寧で、巨視的にも微視的にも楽しめる芸術作品になっている。照明がそれほど効果的ではなかったのが難点といえば難点だが、それでもデューラーの並々ならぬ制作意欲を物語るには十分な作品だった。
2011/01/09(日)(福住廉)
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