2019年04月15日号
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artscapeレビュー

白石綾子 展

2011年02月01日号

会期:2011/01/07~2011/01/22

Gallery Q[東京都]

顔を伏せたまましゃがみこむ女性の身体。洋服の模様が身体の皮膚にまで及んでいるので、まるで刺青のようにも見えるが、これは模様を描いたのではなく、その模様の生地の上に絵を描いたのだという。昨年、ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アートで松山賢が同じような絵を発表していたが、白石とはじつに対照的だ。松山が確信犯的に皮膚に背景の模様を描き込み、だからそこには主体としての身体と客体としての背景という関係が一貫していたのに対し、白石の絵には背景の方に身体が溶け込むかのような透明感がある。主体はむしろ背景の模様であり、身体はそこに隷属しているわけだ。この図柄に侵犯される身体という主題が、服飾や美容に翻弄される現代女性の身体観を明示しているのは疑いないが、同時に色やかたちを反復する「芸術的なもの」が顔に象徴される個性を抹消するほどのさばっている現代社会も暗示しているように思えた。

2011/01/13(木)(福住廉)

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