artscapeレビュー
「アジア・デザイン・エンサイクロペディアの構築」プロジェクト
2011年02月01日号
会期:2011/01/20~2011/01/21
国際高等研究所[京都府]
アジア・デザイン・エンサイクロペディアの構築という新しいプロジェクト(研究代表者:大阪大学大学院教授藤田治彦氏)が、国際高等研究所(京都)で始まっている。アジアのものづくりと歴史・社会文化・生活環境等や世界的影響などについて意見交換を行なうのがその目的。昨年、トルコやインドほかから研究者を迎えて南アジアや東南アジアのデザインの現状と課題が討議されたのに続き、この1月には英国からの研究者を交え、第2回目の研究会が行なわれた。一連の会議は、数年後に英国の出版社から刊行予定の『Encyclopedia of Asian Design』と並行して行なわれるもの。ここ数年、世界中でデザイン・ブームを象徴するトピックには事欠かない。西欧で、デザイン製品の百科全書が次々と発刊されていることは、その一例だ。しかし、そのなかでどれくらいのアジアのデザインが扱われているだろうか。私たちの住む東アジアだけをとってみても、それぞれのデザイン・生活文化・工芸の豊かな伝統が、相互に充分理解されているとは言えない。ましてや、欧米がデザインの主導を握る現在、西洋ではアジアのものづくりへの理解がどの程度進んでいるのか? このような課題について、世界的な視野から総合的に検討を行う場が、いままさに日本でスタートした。注目していきたい。[竹内有子]
2011/01/20(木)(SYNK)