artscapeレビュー
2016年04月15日号のレビュー/プレビュー
ボロブドゥール
[インドネシア、ボロブドゥール]
ボロブドゥールを散策する。およそ25年ぶりの再訪となるが、やはり圧倒的な建築だ。大きな丘の上に石の構築物を加えた壮大なスケール感は、モエレ沼公園を想起させるが、石によるピクセル建築と言うべき膨大な図像は宗教建築ならではの作業量である。石彫の入れ方は、ロマネスクの教会と比較すると興味深い。付属博物館は再現された当時の船、野ざらしで置かれた石片のパーツ群などを展示する。そして最後の出口は、動線が蛇行する物売りのマーケットが延々と続く。
写真:左列、右上=ボロブドゥール遺跡、右中・下=付属博物館
2016/03/30(水)(五十嵐太郎)
《Wisma Salam》
[インドネシア]
Romo Mangunwijayaが設計した《Wisma Salam》は、教会を中心とした複合施設であり、ドミトリーを備え、職業訓練なども行なう場だ。徹底して多様な素材と装飾によって全面が高密度に覆われ、それもある意味でのヘタウマで驚かされる。統合的な「建築」ではない。アウトサイダー建築とでも言うべきか。
2016/03/30(水)(五十嵐太郎)
ガジャ・マダ大学(UGM)建築学科
[インドネシア]
ハリーさんの母校であるガジャ・マダ大学(UGM)の建築学科を表敬訪問する。キャンパスに大きな竹の構築物がつくられていた。ほかにも興味深い開放的な建築がある。日本に留学経験した先生が多い。日本と比べて、院の進学率はそれほど高くないが、卒業生はデザイン系の仕事に就く割合が大きいようだ。
2016/03/30(水)(五十嵐太郎)
Romo Mangunwijayaのオフィス
[インドネシア]
Romo Mangunwijayaのオフィスは、《Wisma Salam》と同様、通常の建築の理解を拒否する空間だった。リサイクル素材による超迷宮的な増築旅館のようである。空間がこんがらがっており、圧倒的に強烈な個性を放つ。カリスマ的な彼の難解な著作は、インドネシアの建築学生にとって必読書になっているという。なお、カンポンのプロジェクトが評価されて、1990年代にアガ・カーン建築賞を受賞した建築家でもある。
2016/03/30(水)(五十嵐太郎)
《Lindu Prasekti邸》
[インドネシア]
《Lindu Prasekti邸》は、アーティストが自分で設計した住宅である。これもリサイクル材を使う建築だが、Romoの手法とは逆で、クリアなヴィジョンをもち、あるべきところにモノが収まっている建築的な空間だった。下手をすると、単に古材を利用したキッチュな家になりがちだが、ハイセンスでまとめており感心する。
2016/03/30(水)(五十嵐太郎)