artscapeレビュー
2016年12月15日号のレビュー/プレビュー
モードとインテリアの20世紀 ─ポワレからシャネル、サンローランまで─
会期:2016/09/17~2016/11/23
パナソニック汐留ミュージアム[東京都]
島根のミュージアム・コレクションを使い、タイトルどおり、ファッションとインテリアのデザインをパラレルにたどる好企画である。ファッションという切り口のせいか、多くの来場者で賑わっていた。ただ、インテリア側としては、せっかくアイリーン・グレイ、シャルロット・ペリアン、イームズ、ホラインらが登場するものの、あまり説明がなく、展示物も写真やスケッチくらいしかなくて、わかりにくいのがもったいない。
2016/11/23(水)(五十嵐太郎)
第57回BCS賞表彰式・懇親祝賀会
会期:2016/11/24
パレスホテル東京[東京都]
パレスホテル東京にて、第57回BCS賞表彰式と祝賀会に出席する。選考委員を代表して、審査経過を報告し、亡くなられた小嶋一浩が審査で語った言葉、大手の組織は都市再開発のプロジェクトをもっと頑張ってほしいというメッセージを伝えた。昨年はシアトルのシンポジウムのため欠席したので、初めて顔を出したが、想像以上に大きな場だった。おそらく建築主が参加し、多くの人に祝福される経験をすることによって、建物を大事に使うきっかけになることに意義がある。
2016/11/24(木)(五十嵐太郎)
It’s a Sony展
会期:2016/11/12~2017/03/31
ソニービル[東京都]
ソニービル「It’s a Sony」展へ。ぐるぐるとスキップ・フロアを踏みしめながら、ソニーの製品と、芦原義信が設計したこの建築の歴史をたどる体験だった。オリジナルの部分、図面、竣工記念の建築みやげなども見られたのが嬉しい。建物が消えるのは残念だが、こういう別れの挨拶のようなクロージング・イベントはよいと思う。また、しばらく広場を提供するのも、興味深い試みである。
2016/11/24(木)(五十嵐太郎)
リビングルームII ミシェル・ブラジー展
会期:2016/09/16~2016/11/27
メゾンエルメス8階フォーラム[東京都]
リビングルームII ミシェル・ブラジー展へ。植物に覆われたスニーカー、プレイステーション、コーヒーメーカー、かたつむりの動く軌跡がのこるカーペット、箒+植木鉢のインスタレーション、染みのドローイングなど、自然の介入がつくる作品の数々。美術館のホワイトキューブでは許可がでにくい生ものを使うことで、アートへの批評にもなっている。
2016/11/24(木)(五十嵐太郎)
小泉明郎 CONFESSIONS
会期:2016/10/28~2016/11/27
京都芸術センター[京都府]
関西へ日帰りの旅。まず、関東でも見られるけど見逃している小泉明郎の個展へ。作品は2つあって、ひとつは、繁華街の若者やホームレスの姿が断続的に流れる映像に、「あなたの心のいちばん奥底にある言葉を聞かせてください」というインタビューの音声を被せた《最後の詩》。インタビュアーは「自分の好きなところは?」「日本をどう思いますか?」といった無難な問いから、次第に「レイプしたいか?」「殺したい人はいるか?」とエスカレートしていき、「もっとあるでしょ、もっと!」「ふざけんなといえよ! 腹立ってんだろ?」と挑発していく。もうひとつは、杉本博司の「海景」シリーズみたいな水平線が映る映像に、「子どもが上を見上げた瞬間に私は子どもを突き落としました。ところが頭から落ちれば即死するのに尻から落ちた」と朗読の声が被さるのだが、途中で「んあ!? ああ!?」と引っかかり、先へ進めなくなってしまう。映像も半分は焔に包まれた男の肖像に変化していく。どちらの作品も見ていてもどかしくなり、つらくもなるが、それは予定調和や同調圧力に対する抵抗の表現であるからだろう。
2016/11/25(金)(村田真)