artscapeレビュー

2021年04月15日号のレビュー/プレビュー

カタログ&ブックス | 2021年4月15日号[近刊編]

展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます





アヴァンギャルドのオリジナリティ モダニズムの神話

著者:ロザリンド・E・クラウス
翻訳:谷川渥・小西信之
発行:月曜社
発行日:2021年3月3日
サイズ:四六判上製、480ページ

20世紀美術批評の最重要論集。モダニズム芸術の中核概念である「特異性」「オリジナル」「唯一性」「原作者」「自発性」などを神話として分析し、それらによって覆い隠されている「反復」「コピー」「差異」「パスティッシュ」「展示空間」といった現実を顕わにする論争の書。美術をめぐる言説に、時代を超えて刺激を与え続けている現代の古典、改訳にてついに再刊。(原著1985年刊。『オリジナリティと反復』リブロポート、1994年刊を全面的に改訳した新版)

関連記事

『オリジナリティと反復』ロザリンド・E・クラウス|沢山遼:Artwords(アートワード)

ポスト・アートセオリーズ─現代芸術の語り方

著者:北野圭介
発行:人文書院
発行日:2021年3月30日
サイズ:13.2×18.8cm、280ページ

拡散する現代アートに対峙する理論とは何か。芸術の終焉、ポストモダニズム、ポストセオリーの時代を越えて、来るべき理論を探る野心作。
1980年代、アーサー・ダントーは「芸術の終焉」を唱えた。しかし、その後、現代アートはグローバル資本主義の拡大に同伴するかのように爆発的な隆盛を見せる。一方、芸術に向き合ってきた人文学はポストモダニズムの席巻の後、社会主義の崩壊、メディア技術の発展やアート自体の拡散も相俟って、理論的なものが後退してゆく。果たしていまや、この事態に斬り込む言葉はあるのか。本書では、「理論」を牽引するジャーナル『オクトーバー』『クリティカル・インクワイアリー』の変遷を軸に、現代思想とアートの複雑な絡み合いを読み解く。米国を越えて加速する世界規模の知のサーキュレーションを背景に、かつての理論的地平の乗り越えを試みる。

なお本書には、黒いコードの群れ──「クリスチャン・ボルタンスキー─Lifetime」展|北野圭介:フォーカス(2019年04月15日号)も収録。


千葉正也個展

著者:千葉正也
発行:美術出版社
発行日:2021年3月16日
サイズ:30cm、180ページ

2021年1月より東京オペラシティ アートギャラリーにて開催されていた「千葉正也個展」図録。本展インスタレーションを撮り下ろし掲載するほか、過去の代表作から最新作まで掲載した作家初の作品集。


[収録テキスト]
・インタビュー:聞き手=松井みどり (美術評論家)
・寄稿:羽鳥嘉郎(演出家)、首藤直樹(アーティスト)
・論文:堀元彰(東京オペラシティ アートギャラリー)

関連記事

千葉正也個展:オススメ展覧会(2021年03月15日号)

視覚言語と生成する身体──『夢の男』と千葉正也個展から|田中みゆき:キュレーターズノート(2021年04月01日号)

絵画を通してのみひらかれるもの──千葉正也個展/輝板膜タペータム 落合多武展|能勢陽子:キュレーターズノート(2021年03月01日号)

千葉正也個展 |村田真:artscapeレビュー(2021年02月01日号 )

リフレクティヴ・ノート(選集)

著者:田中功起
発行:美術出版社
発行日:2021年3月10日
サイズ:21cm、459ページ

アーティストの抽象的思考と具体的実践は、コロナ禍で変わったのか。日本を代表する美術家、田中功起の新刊。2020年10〜12月にアート・ソンジェ・センター(韓国、ソウル)で開催された個展「Vulnerable Histories (A Road Movie)」にあわせて刊行。コロナ禍のインタビューや書き下ろしを含めた、近年国内外で寄せた16のテキストを収録。日英韓の3か国語表記。

なぜ戦争をえがくのか─戦争を知らない表現者たちの歴史実践

編著:大川史織
著者:小泉明郎、諏訪敦、武田一義、高村亮、遠藤薫、寺尾紗穂、土門蘭、柳下恭平、後藤悠樹、小田原のどか、畑澤聖悟、庭田杏珠、渡邉英徳
みずき書林
発行日:2021年1月9日
サイズ:13.2×18.8cm、320ページ

美術、絵画、漫画、工芸、音楽、小説、写真、彫刻、演劇、研究……歴史と記憶と表現をめぐる10の対話。
敗戦から75年が経過し、当時を知る人の数は年々少なくなりつつある。体験者の記憶を継承することは急務のひとつである。しかし、〈戦争記憶の継承〉とはどういうことなのか。表現者たちはどのように戦争と出会ったのか。私たちは知らないことをどのように語り継ぐのか。体験のない人びとによる、体験のない人たちのための、〈記憶の継承〉のかたち。

光のない。 [三部作]

著者:エルフリーデ・イェリネク
翻訳:林立騎
発行:白水社
発行日:2021年3月11日
サイズ:18cm、189ページ

ノーベル文学賞作家イェリネクが、ポスト3.11の世界に捧げるレクイエム!東日本大震災と原発事故がモチーフの三部作、一挙収録[訳文一新]。既刊単行本の『光のない。』に収録された四作から「雲。家。」と「レヒニッツ(皆殺しの天使)」を割愛し、「光のない。」「エピローグ?」に「プロローグ?」を新しく追加して、Uブックス版としての刊行。日本の読者のために、自作解説「よそものとしてわたしたちはやってきて、誰もが一人のままでいる。(わたしの作品『光のない。』についてのいくつかの考え)」も特別寄稿されたワールドプレミア・エディション。

未来のアートと倫理のために

編著:山田創平
執筆者:今井朋、樅山智子、あかたちかこ、小泉明郎、内山幸子、吉澤弥生 、竹田恵子、飯田和敏、鷹野隆大、緒方江美、ウー・マーリー、住友文彦、猿ヶ澤かなえ、三輪晃義、遠藤水城、百瀬文
発行:左右社
発行日:2021年3月9日
サイズ:四六判変型、260ページ

「アートにおける倫理」をテーマにした必携の入門書
アート界のジェンダー不平等 見えなくされる芸術労働者 マイノリティと表現の自由 美術館のアイデンティティ 公平性とアートマネジメント 制作と合意 芸術実践における倫理のあり方と公平な社会の可能性を、アーティスト、アートマネージャー、キュレーター、ソーシャルワーカー、ドラァグクイーン、社会学者、弁護士らが共に探った、これからのアートを考える人に必携の一冊。

日本近現代建築の歴史 明治維新から現代まで (講談社選書メチエ)

著者:日埜直彦
発行:講談社
発行日:2021年3月11日
サイズ:13×18.8cm、424ページ

本書は、明治維新から現在に至る日本の建築史を一筆書きで描き出す試みである。日本の建築史については、これまで幾多の著作が書かれてきたが、1970年までで終わるものがほとんどで、その後の時代を包含するものはない。バブル経済に沸き立った1980年代を経て、長い不景気の時代を迎えた日本は大きな変化を受けている。ならば、21世紀の今、本当に必要なのは、この150年の歴史を通覧することにほかならない。


クリティカル・ワード メディア論 理論と歴史から〈いま〉が学べる

編著:門林岳史、増田展大
執筆者:秋吉康晴、飯田麻結、飯田豊、岩城覚久、遠藤英樹、大久保遼、喜多千草、佐藤守弘、清水知子、鈴木恒平、竹峰義和、田中洋美、橋本一径、浜野志保、原島大輔、福田貴成、堀潤之、前川修、馬定延、松谷容作、水嶋一憲、水野勝仁、光岡寿郎、毛利嘉孝、山本泰三、吉田寛
発行:フィルムアート社
発行日:2021年2月26日
サイズ:四六判、296ページ

メディアの織りなす世界を読み解く35のキーワード
ゲーム、ソフトウェア、モバイルから、資本、ジェンダー、観光、軍事まで……現在/過去の文化と社会を一望できる、メディア論の新しい教科書!


TCP Record&Review─Vol.1 バウハウスへの眼差し─EXPERIMENTS─

発行人:伊奈英次
編集・デザイン:岡田奈緒子、小林功二(LampLighters Label)
発行:東京綜合写真専門学校
発行日:2021年3月31日
サイズ:25.6×18.4㎝、130ページ

2019年に東京綜合写真専門学校ギャラリー(1F+4Fギャラリー)にて開催された展覧会「バウハウスへの眼差しーEXPERIMENTSー」の記録集。展⽰は主催者である東京綜合写真専⾨学校の校⻑・伊奈英次によるバウハウスの記録写真展「バウハウスを訪ねて」と、東京綜合写真専⾨学校を卒業した写真家 7名による新たな挑戦の場「7 EXPERIMENTS」の 2部で構成。


関連記事

東京綜合写真専門学校「バウハウスへの眼差しーEXPERIMENTSー」関連イベント:アートフラッシュニュース(2019年11月01日)

中﨑透 Connection Collection(記録集)

著者・編集:中﨑透
執筆:石川卓磨、佐藤慎也、天野一夫
写真:松本美枝子、舘かほる、中﨑透、仲田絵美
発行:中﨑透
発行日:2020年10月31日
サイズ:21cm、130ページ

2020年10月〜11月にかけて水戸のキワマリ荘/中﨑透美術館準備室(仮)で開催された展覧会「Connection Collection」の記録集。


関連記事

新型コロナ禍での行政による文化芸術支援 これまでとこれから(後編)|内田伸一:トピックス(2021年02月01日号)

TERATOTERA 2010→2020 ボランティアが創ったアートプロジェクト

監修・ディレクター:小川希
編集:西岡一正
デザイン:トール至美
翻訳:ライアン・ホームバーグ
発行:アーツカウンシル東京
発行日:2021年3月11日
サイズ:13x18.8cm、424ページ

TERATOTERA(テラトテラ)は、東京都とアーツカウンシル東京と、吉祥寺に拠点を置いて現在進行形の芸術をフィーチャーしている一般社団法人Ongoingが協働して、平成21年度よりJR中央線高円寺駅~吉祥寺〜国分寺駅区間をメインとした東京・杉並及び武蔵野、多摩地域を舞台に展開する、地域密着型アートプロジェクトおよびその発信機関の総称。本書は、アートプロジェクトTERATOTERAの2010から2020の営みをまとめたドキュメントブック。


関連記事

オルタナティヴ・アートスクール ──第4回 自分たちに必要なプロジェクトをつくる アートプロジェクトの0123|白坂由里:トピックス(2019年04月15日号 )



※「honto」は書店と本の通販ストア、電子書籍ストアがひとつになって生まれたまったく新しい本のサービスです
https://honto.jp/

2021/04/14(水)(artscape編集部)

artscapeレビュー /relation/e_00055491.json s 10167995

2021年04月15日号の
artscapeレビュー