artscapeレビュー
第15回岡本太郎現代芸術賞展
2012年04月15日号
会期:2012/02/04~2012/04/08
川崎市岡本太郎美術館[神奈川県]
応募作品の表現形式は自由、サイズも5メートル立方に収まればいいので、ほぼなんでもありってことだ。ベラボーな作品を好んだ岡本太郎らしい公募展だ。そんなわけで今年もベラボーな作品が集まった。まずは高さ5メートルを超す(早くも規格外)関口光太郎の《感性ネジ》。ネジのように螺旋を描く塔で、周囲にマリリン・モンローやらトカゲやら楽器やらが付着し、表面は新聞紙に覆われその上にガムテープを巻いていて表現主義的だ。これは岡本太郎賞。メガネの《エナジー・オブ・ダンス》は、床に家電製品が置かれ、中央にポールが立ってるインスタレーションだが、かたわらのモニターに目をやると、作者がポールダンスを踊ることによって発電し、家電製品を動かすというパフォーマンスをやってる。原発事故以来のエネルギー問題をポールダンスで解決しようというトンデモアートだが、パフォーマンスをやってないときはたんなるショボいインスタレーションだ。特別賞。あとおもしろかったのは、太田祐司の《ジャクソン・ポロックの新作をつくる》。横長のキャンバスに絵具をまき散らした絵画で、これだけではおもしろくもなんともないが、これもかたわらのモニターで、作者ではなくイタコのおばちゃんがポロックに憑依され、ポーリング(絵具を垂らす技法)する様子が映し出されている。このおばちゃん、きっとポロックのビデオを何度も見て練習したんだろう、なかなか堂に入った筆さばきで笑えるのだ。島本了多と山本貴大による《大学美術展覧会》も笑えた。美大のゴミ捨て場から拾ってきた数十点もの「作品」を展示しているのだ。大半はクズだが、なかにはちょっと気になる「作品」も。捨てた人が見たらどう思うだろうな。最後に、ベラボーではないけど、加納俊輔の《レイヤー・オブ・マイ・レイバー》。詳述する余裕はないが、一見ありがちなインスタレーションなのに、よく見ると「あれあれ?」って仕掛けが。こういうの好きだ。
2012/03/16(金)(村田真)