artscapeレビュー

かなもりゆうこ展「Memoriae──メモリエ」

2012年04月15日号

会期:2012/02/27~2012/03/17

ギャラリーほそかわ[大阪府]

かなもりゆうこの新作展。日常の些細なものごとを独特の世界観でひそやかに繊細に表現するその作品はいつもなにか言葉を連想させるもので美しい。今展では映像とインスタレーション作品を発表。パンチングで穴をあけたレース状の白い紙、本の青色の見返しに置かれた小さな折り紙の舟など、いろいろなイメージが会場に散りばめられていて想像を掻き立てる。訪れたのは最終日だったが、この日は「失われた島への到着の仕方」というパフォーマンスも行なわれた。薄い茶色の紙の大地に、貝殻や海の水面の泡などが刺繍された白い布が落とされ、小さな折り紙の舟が青いエプロンの襞の波間に浮かぶ。そんな展開のパフォーマンスに、なにも解説はなかったが、そのイメージは祈りと再生への希望や願いといった言葉が浮かんでくるものであった。


パフォーマンスの様子

2012/03/17(土)(酒井千穂)

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