artscapeレビュー

UNKNOWNS

2012年09月15日号

会期:2012/08/20~2012/08/25

藍画廊+ギャラリー現[東京都]

東京造形大学の近藤昌美教授が選んだ4人の学生の作品に、慶応義塾大学の近藤幸夫ゼミの学生がテキストをつけるという近藤×近藤の試み。藍画廊には大久保薫、高山夏希、生井沙織の3人、ギャラリー現には北島麻里子ひとりが展示している。名前だけ見ると全員女性かと思うが、大久保のみ男性。興味深いのは、大久保の絵が一見3コマ漫画みたいに物語性があるかに見えて、その実ペインティングそのものに重点を置いているのに対し、ほかの3人は逆に描かれたものより、その背後にある物語性(または思想性)を重視しているように感じられること。もちろんどちらがいいというわけではないし、またそれが性差によるものかどうかは知らないが。しかし毛髪や血液を画材に使ったり、愛犬の遺骨を粉にして固めたりする北島の作品は、なかなか男は発想しないと思う。会場では近藤ゼミによるテキスト(表紙は「作品批評」だが中身は「作品解説」)が配られていたが、これを読んでつくづく感じるのは、やっぱり書くより描くほうがエライというか強いというか楽しいというか。

2012/08/20(月)(村田真)

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