2022年12月01日号
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artscapeレビュー

ダニエル・マチャド/森山大道「TANGO」

2012年09月15日号

会期:2012/08/18~2012/09/30

TRAUMARIS SPACE[東京都]

面白い組み合わせの写真展だった。ウルグアイ、モンテビデオ出身のダニエル・マチャドはタンゴ・ダンサーがカップルで踊る姿を画面上で増殖させるシリーズと、バンドネオンとダンサーとの脚を対比させて画面に配したシリーズの二作品を展示した。どちらもタンゴの官能性、音楽のうねりとともに変容していく身体のあり方を見事に捉え切っているが、個人的には後者の方が興味深かった。バンドネオンの本体のメカニズムが、そのまま女性の脚の曲線に接続しているあり方が、シュルレアリスティックと言えそうなほど意表をついた美しさなのだ。そういえば、今回のパートナーである森山大道にも網タイツの脚をクローズアップで撮影した作品があった。二人の作品世界が重なりあって見えてくるのがよかったと思う。
その森山は、2005年の写真集『ブエノスアイレス』(講談社)におさめたタンゴのイメージを再演していた。森山の数ある写真集のなかでも、『ブエノスアイレス』はねっとりと絡みつくような夜の空気感、そのエロティシズムを最も色濃く漂わせている。そのなかでも、特に夜の路上で踊る男女のタンゴ・ダンサーの場面は鮮やかに記憶に残っており、それをかなり大きく引き伸ばしたプリントのかたちで見ることができたのが嬉しかった。カラーとモノクローム、演出写真とスナップショットという二人の写真家の対比がうまくきいていて、展示として成功していたと思う。

2012/08/18(土)(飯沢耕太郎)

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