artscapeレビュー

絵のパレード

2012年09月15日号

会期:2012/08/10

石巻商店街[宮城県]

7月にナディッフ・ギャラリーで開催した「一枚の絵の力」展が、宮城県石巻市の日和アートセンターに巡回することになり、いちおう出品作家のひとりであるぼくも便乗させてもらった。昨晩、遠藤一郎のバス「未来へ号」に作品と作家たちを載せて秋葉原を出発、朝方石巻に到着。仮眠後、展覧会のデモンストレーションを兼ねて作家がそれぞれ作品を抱え、街中を練り歩いた。この「絵のパレード」はやはり出品作家の幸田千依さんのアイディア。作品を搬入していたとき絵を持って歩くのがおもしろいと感じて始めたという。なるほど、絵が歩くというのは動産美術であるタブローでしかできない話。しかも大きすぎたら持てないし、小さすぎたら絵が目立たないし、ちょうど胴体が隠れて頭と足が出るくらいの大きさがいい。しかし見せられるほうは、いきなり絵が次々と表われて目の前を通りすぎたり、自分を取り囲んだりするわけだから、かなり戸惑うと思う。商店街といっても被災地だから開いてる店も人通りも少なかったけど、自分の絵をこうやって白昼堂々と人目にさらすというのは必要な経験かも。パレード終了後アートセンターに戻り、みんなで飾りつけ。

2012/08/10(金)(村田真)

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