artscapeレビュー
画廊からの発言──新世代への視点2012
2012年09月15日号
会期:2012/07/23~2012/08/04
ギャラリーなつか+コバヤシ画廊+ギャラリイK+ギャラリー現+ギャルリー東京ユマニテ+藍画廊+なびす画廊+ギャラリーQ+ギャラリー58+ギャラリー川船+GALERIE SOL+gallery21yo-j[東京都]
1993年に銀座と京橋の10画廊で始めたこの企画展、立ち上げ当初はバブルの余韻が残るものの景気が下降し始めた時代。それから10年は不況が続き、ゼロ年代なかばにちょっとしたアートバブルが起こったけれど、それもリーマンショックであえなくついえ……といったように浮沈を繰り返してきた(浮より沈のが長いけど)。当初の10画廊のうち現在も続けているのは7画廊で、そのうち移転もせずにがんばっているのはたった3画廊のみ。けっこう動きが激しい業界ではある。現代美術や若手作家を巡る状況もずいぶん変わったような気がするが、でも基本的になにも変わってないような気もする。いちばん変わったのは、「現代美術」「作家」という言葉が「アート」「アーティスト」に置き換えられたことかもしれない。「若い現代美術の作家たちへの支援と育成」を目的に始まったこの企画展も、このままずっと続けてほしいと思う反面、時代に即してどんどん変わっていってほしいとの思いもある。この炎天下、12軒全部回るのはツライので、少し離れたソルと遠く離れた21yo-jはあきらめて、計10画廊を回った。強く印象に残ったのは、日常的なゴミや紙くずなどを搬入用のバッグとともに展示した小栗沙弥子(コバヤシ画廊)と、モノクロームのドローイングと起き抜けのベッドや脱ぎ捨てた服を撮った写真の大森愛(川船)。このふたりに共通するのは、自分の身近な物事に固執していること、見た目に美しいわけでもおもしろいわけでもないこと。これって「アート」っていうより「現代美術」だよね。
2012/08/03(金)(村田真)