artscapeレビュー

カタログ&ブックス│2009年5月

2009年05月15日号

 

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

TSE SU-MEI

発行日:2009年3月31日
編集:浅井俊裕、高橋瑞木
翻訳:西沢三紀、高橋瑞木
発行:水戸芸術館現代センター
サイズ:B4判、87頁(カラー)

ルクセンブルグ出身の新進気鋭作家ツェ・スーメイ(Tse Su-Mei, 1973-)。彼女は2003年のベニスビエンナーレでルクセンブルグ館に金獅子賞をもたらして以来、世界各地の個展や企画展に招待されている、今もっとも注目すべきアーティストである。イギリス人ピアニストの母と中国人バイオリニストの父の間に生まれ、自身もチェロ奏者でもあるスーメイは、音楽や音、東西文化やアイデンティティをテーマとした作品を作っている。本カタログは、こうした真摯なテーマを知的なユーモアを交えてスマートに表現した、ビデオインスタレーション、彫刻、写真などにより構成され、日本初の個展である水戸芸術館現代美術館ギャラリーで行われた展示を記載したものである。


取出アートプロジェクト2008記録集

発行日:2009年4月10日
編集:岩崎美冴
監修:渡辺好明
翻訳:五十嵐ひろ美
デザイン:森垣賢
定価:1,500円(税別)

取手アートプロジェクト(TAP=TorideArtProject略)は、1999年より市民と取手市、東京芸術大学の三者が共同で行なっているアートプロジェクトです。若いアーティストたちの創作発表活動を支援し、市民のみなさんに広く芸術とふれあう機会を提供することで、取手が文化都市として発展していくことをめざします。本書は記念すべき10年目の取手井野団地を舞台に繰り広げられたTAP2008の記録集。おまけDVD付き。


六本木にオオカミを放て!『六森未来図』プロジェクト

発行日:2009年3月26日
編集:鴻池朋子、佐々木瞳、白濱恵里子、白木栄世、藤川悠
表紙、挿絵:鴻池朋子
寄稿:坂本里英子
デザイン:内川たくや
翻訳:有限会社フォンテーヌ
発行:森美術館

鴻池朋子氏と森美術館のパブリックプログラムの新しいプロジェクトである、『六森未来図』プロジェクト第1章から最終章までをまとめた一冊。


photographers'gallery press no.8

発行日:2009年4月30日
発行責任:北島敬三
編集責任:大友真志
デザイン:田中勲
発行:photographers'gallery
サイズ:B5判、400頁
定価:3,990円(税込)

戦後の日本写真史に強い影響を与えながらも、いまだその全貌を知られることのなかった北海道写真の先者、田本研造。函館港開港150周年にあたる今年、本誌では田本および田本写真館撮影とされる開拓当時の函館・札幌の様子を伝える写真、496点を一挙掲載。北海道写真や明治期の写真を読み解く精鋭な論考とあわせ、田本研造の全貌に迫ります。


現代美術のキーワード100

発行日:2009年4月10日
著者:暮沢剛巳
発行所:株式会社筑摩書房
サイズ:新書判、256頁(モノクロ)
定価:780円(税込)

時代の思潮や文化との関わりが深い現代美術の世界を、タテ軸(歴史)とヨコ軸(コンセプト)から縦横無尽に読み解く。アートを観る視点が100個増えるキーワード集。[筑摩書房サイトより]



福沢諭吉と近代美術

発行日:2009年3月31日
編集、発行:慶応義塾大学アート・センター
定価:700円(税込)

「芸術」という領域は従来の福澤諭吉研究史において決定的に欠落した領域である。本特集号はその意味で、「福澤諭吉と美術」をテーマとする福沢諭吉研究史上おそらくはじめての挑戦的な試みを記載した書である。







デジタル化以後の写真を考える

発行日:2009年4月1日
編者:小林のりお・佐藤淳一・大嶋浩・高橋明洋
発行所:株式会社瀬誠文堂新光社
サイズ:B5判、91頁(モノクロ)

本冊子は、武蔵野美術大学2008年度共同研究助成「デジタル化以後における写真─離散的イメージの研究」の一年間にわたる共同研究の成果及びその報告書である。 デジタル化以後の写真表現がどのようなものになっていくのか、あるいはデジタル化以後の写真教育はどのように変わる必要があるのか。21世紀の写真表現のあり方について、その問いかけの端緒になればと考えられ、作られた冊子である。


アルゴリズミック・デザイン

発行日:2009年3月30日
編者:日本建築学会
ブックデザイン:伊東滋章
発行:鹿島出版
サイズ:A5判、182頁(モノクロ/カラー)
定価:2,800円(税込)

「アルゴリズミック・デザイン」は設計の自動化ツールではない。想像力を拘束する枷を解いて、直観的総合力を発揮するための「協力者」なのである。 本書は、アルゴリズミック・デザイン」を、「要求される課題を解くためのアルゴリズムを用い、解答としての形態や構成を生成する、設計方法」と定義しており、建築家と計画・構造分野の研究者が一堂に会し、困難な議論を乗り越えて生まれた新しい書である。


Arup Japan

発行日:2009年4月24日
編者:鍋島憲司・田中陽輔
編者製作:有限会社メディア・デザイン研究所
発行所:株式会社瀬誠文堂新光社
サイズ:210x166mm、287頁(カラー)
定価:3,000円(税込)

Arupとは何か。20世紀を代表する英国の構造エンジニアであるオーウ゛・アラップの名を冠する企業として主に建築構造部門で活躍し、20世紀を代表する数々の名建築の実現に、技術面で貢献してきたエンジニア集団であることは広く知られているだろう。 本書はArupの多面的な活動と組織運営の姿を、Arupの日本における拠点でもあるArupJapanの仕事に焦点をあてることによって描き出すことを目指している。


アニミズム周辺紀行3

発行日:2009年4月10日
編集:渡邊大志、丹羽太一、太田厚子
発行所:石山修武研究室 絶版書房II
サイズ:A5判、104頁(モノクロ)
定価:2,500円(税込)

アニミズム周辺紀行1、2の続編。全104ページ。400部限定。2,500円。 400冊全てに石山修武のオリジナルドローイング一点が手描きで描き込まれます。[絶版書房IIサイトより]


SUMIKA Project 現代のプリミティブな住処

発行日:2009年3月25日
編集長:四方裕
発行所:株式会社新建築社
サイズ:A4変形判、128頁(カラー)
定価:2,000円(税込)

建築環境デザインコンペティションで審査委員長を務める伊東豊雄氏に総合プロデュースを依頼し、伊東氏が設計する見学パヴィリオンと、藤森照信氏、西沢大良氏、藤本壮介氏による「プリミティブ」な感覚を呼び覚ますような五感で感じる住宅3棟を建設する「SUMIKA Project」。 多くの写真や図版による作品紹介をはじめ、4名の建築家によって議論を重ねたワークショップや座談会など。SUMIKA Projectの全てを集約した一冊。

2009/05/15(金)(artscape編集部)

2009年05月15日号の
artscapeレビュー