artscapeレビュー
ラグジュアリー[ファッションの欲望]
2009年05月15日号
会期:2009/04/11~2009/05/24
京都国立近代美術館[京都府]
「モードのジャポニズム」「身体の夢」「COLORS ファッションと色彩」と、これまでにも開催されてきたシリーズに続くファッション展。今回は「ラグジュアリー」という視座で、“贅沢”や“豊かさ”の価値観の変遷をファッション史から再考し、ファッションと社会、時代との関係性を探る。会場では17世紀のドレスから現代までの作品を展示していた。最後の見どころはコム・デ・ギャルソンとマルタン・マルジェラの服だが、展示がここで終わりなのがちょっと残念だ。いろんな意味でお洒落だと思うし、これらが新しい「ラグジュアリー」の価値観や美意識を示したファッションであることは解るが、ただ現在に至っても新鮮な感覚かというと、ちょっと微妙な気がするし、個人的には今後の「ラグジュアリー」観の新たな方向がうかがえるような、もっと新鮮な驚きのある展示を期待していたからだ。けれど、すごい速度で変化する流行の性質を考えるとその最新の状況を展覧会で見せるのはやはり難しいか。
2009/04/10(金)(酒井千穂)