artscapeレビュー

チチ松村×伊達伸明 よもやま話

2009年05月15日号

会期:2009/04/10

法然院大書院[京都府]

取り壊される建築廃材の一部を用いてウクレレを制作する伊達伸明さんの新作展にあわせた特別イベント。制作についてだけでなくふたりの交流のエピソードなど、まさによもやま話が展開。これまでに制作されたウクレレを一本ずつ紹介しながらのライブ演奏もあり贅沢な時間だった。なかでも印象的だったのは、伊達さん自身が頻繁に通っているという建て替えられた食堂(のウクレレ)にまつわるエピソード。以前の店での常連客や店主との距離感、揚げ物の油の匂いなどがリアルに伝わってくるような温かい話なのだが、店先のサンプルの「エビ天」がのっかっているウクレレはどうも間抜けな印象で可笑しい。あまり大きく宣伝されなかったとのことで、窮屈にもならず、ほどよい来場者の数。夕暮れ時の京都の町並みが一望できる法然院大書院という会場もまた素晴らしかった。のんびり、ゆったりという言葉がぴったりの二人の雰囲気そのままの時間と空間だった。

2009/04/10(金)(酒井千穂)

2009年05月15日号の
artscapeレビュー