artscapeレビュー

彫刻──労働と不意打ち

2009年09月15日号

会期:2009/08/08~2009/08/23

東京藝術大学美術館陳列館[東京都]

奇妙なタイトルの彫刻展だが、「労働」とは彫り刻み肉づけする徒労にも似た作業のことで、そんな日々の労働のなかで一瞬ひらめく天啓のようなものが「不意打ち」だ。つまり持続的な「労働」と瞬間的な「不意打ち」が彫刻を生み出す源、ということらしい。してみると、芸術活動とふつうの労働との違いは、「不意打ち」が来るか来ないかの違いになる。なるほどそうだったのか。それはいいとして、作品は、マニエリスティックな技巧に走りがちな藝大勢もいいが、バロックともいうべき西尾康之が異彩を放つ。

2009/08/13(木)(村田真)

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