artscapeレビュー
「骨」展
2009年09月15日号
会期:2009/05/29~2009/08/30
21_21 DESIGN SIGHT[東京都]
デザインの根幹を骨格から捉え直しながら、未来のデザインを探索しようとする展覧会。会場は、生物や工業製品の骨を写真や分解模型などで展示する「標本室」と、未来の骨について思考するきっかけを与える制作物を展示した「実験室」の二つのパートからなる。展覧会ディレクターは山中俊治、会場構成はトラフ建築設計事務所。生物と工業製品を、同じ視点で捉えていくことによってデザインを考えていこうという視点が面白い。筆者は運良く山中氏によるツアーに参加することができた。「ダチョウの骨のひざに見える部分は実はかかとである」「亀の甲羅は背骨と肋骨があわさったものである」など、意外な事実の説明などを受け、骨から見える新しい視点の可能性を知る。「実験室」では、エルネスト・ネト、明和電気、THA/中村勇大など、多様な作家の作品が展示。どれも興味深かった。特に、慶応義塾大学山中俊治研究室による「Flagella」は、硬質な骨自体がクネクネと動いているように見える未来の骨的なオブジェクトが印象に残った。
2009/08/26(水)(松田達)