artscapeレビュー
仏たちの物語
2009年09月15日号
会期:2009/07/11~2009/08/16
MIHOMUSEUM[滋賀県]
釈迦の誕生から大乗仏教のおこり、日本での仏教の広がり、写経、禅など6つのテーマを子ども向けのイラスト、マンガ、ビデオなどを交えて詳細に解説、約70点の資料を展示。特に印象的だったのは白鳳時代の《橘夫人念持仏・後屏飛天拓本》。仏教信仰に篤かったという光明皇后の母、橘夫人の死後、法隆寺に収められた阿弥陀三尊の後屏に描かれたものの拓本。飛天がまとう衣がふわりと風に舞い上がる軽やかな様子がなんとも絶妙で儚げな雰囲気。また、さまざまな時代の写経やそこに込められた人々の思いを紹介するコーナーも興味深い。知識が乏しく写経といってもあまりピンとこなかったけれど、奈良時代には図書寮という役所まで設けて行なわれていた国家的事業だったという写経、書き写された楷書体の美しさと圧倒的な説得力には目を見張るものがあった。
2009/08/05(水)(酒井千穂)