artscapeレビュー
NEOREAL「パワープロジェクターが創造する新たな映像表現の世界」
2009年09月15日号
会期:2009/08/27~2009/08/29
東京ミッドタウン[東京都]
キヤノン株式会社が2009年のミラノサローネで発表した「NEOREAL」展が東京にて再現された。期間は三日のみ。三部構成の体験型展示のうち、目玉は平田晃久(建築家)と松尾高弘(インタラクティブ・アーティスト)によるコラボレーション作品。平田による空間構成は、「animated knot」と名付けられた、結び目の幾何学によって生まれる有機的な三次元空間。半円形が上下に複雑に絡み合うように組み合わされ、伸縮性の膜が張られることで襞的な連続空間が生成されていた。松尾による「Aquatic Colors」と題された作品では、クラゲなどの映像が壁面に投影され、それらは触れると反応してインタラクティブに動いた。実際にはミラノサローネでの展示から、全体の形態を変えて再構成したものであったという。巨大で複雑な構築物のようでありつつ、柔軟に外形にあわせて変形できるところは、空間原理の強度が示されていたように思えた。シンプルな原理が生み出す官能的な空間体験だった。
2009/08/26(水)(松田達)