artscapeレビュー

建築以前・建築以後 展 余談

2009年09月15日号

会期:2009/08/01~2009/08/29

小山登美夫ギャラリー 7F[東京都]

SANAA(妹島和世+西沢立衛)の「スイス連邦工科大学ローザンヌ校ロレックス・ラーニング・センター」を見たとき、一緒にいた学生の反応が象徴的だった。SANAAがほとんど誰かも知らなかったようであるが、「自分が最近見ている作品に似ている(から特に新しく思えなかった)」と言うのだ。その背景には、SANAAの表面的な模倣をしている学生が、特に多く現われてきており、しかもそれも第一世代ではなく、模倣を模倣している次の世代が現われてきているのかもしれない。おそらく、彼はそこでそれらすべてのオリジナルを見ているのだということに気付いていなかった。そもそもオリジナルとしてのSANAAのプロジェクトは、やはりコピーとまったく違う強度を持っていると、少なくとも筆者は感じたし、そのことに本来気付くべきだと思う。つまりオリジナルとは模倣できないものなのだというところを見るべきなのである。レム・コールハース/OMAの場合も、80年代末以降、多くの追随者が現われた。コールハースの場合、コピーのコピーは、オリジナルとまったく異なるものになっていたと言えるだろうし、真似したいのならコールハース本人を追いかける必要があるように思われる。しかしSANAAの場合、おそらくコピーを繰り返してもSANAA風になってしまう。そこがSANAAの感染力の強さであるし、コールハースの場合のオリジナルとコピーの問題系とは違う問題を提起しているように思われた。

2009/08/28(金)(松田達)

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