artscapeレビュー
メキシコ20世紀絵画展
2009年09月15日号
会期:2009/07/04~2009/08/30
世田谷美術館[東京都]
最初の部屋に、チラシにも載ってるフリーダ・カーロのエリマキトカゲみたいな《メダリオンをつけた自画像》が1点、うやうやしく飾られている。これを見てがっかりした。いやこの作品はいいんですよ。いいんだけど、それが水戸黄門の印籠のごとく掲げられてるということは、これがこの展覧会の最高の作品ですよ、これに勝る作品はもうありませんと最初に宣言してるようなもんではないか。やっぱ印籠は最後に出さなきゃ。実際、日本の戦前のシュルレアリスム絵画や戦後のルポルタージュ絵画に通じる作品や、壮大な壁画運動を彷佛させるような作品もあってそれなりに考えさせられるが、全体に小粒の作品が多いせいか、なんだメキシコ絵画ってこの程度かよと思ってしまう。リベラかシケイロスの壁画の原寸大レプリカが1点でもあれば、また印象も違っただろうが、まあカネもかかるし、レプリカじゃよけい印象が悪くなりかねないし。
2009/08/27(木)(村田真)
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