artscapeレビュー

堂島リバービエンナーレ2009「リフレクションアートに見る世界の今」

2009年09月15日号

会期:2009/08/08~2009/09/06

[大阪府]

今後、堂島リバーフォーラムが隔年で開催するという堂島リバービエンナーレの第一回目。「リフレクション:アートに見る世界の今(Reflection: The World Through Art)」と題し、「シンガポールビエンナーレ」2006年の第一回展、2008年の第二回展の出品作品のなかから政治的、社会的、文化的な問題提起を行なう作品26点を紹介。現実を写す鏡としてのアートを通じて、現代社会をとらえるさまざまな視点を知り、国や個人としての在り方、生き方について考えるという趣旨。ボリビアのウユニ塩原で撮影されたというチャーリー・ニジンソンの《漂流する人々》というビデオインスタレーションは、水面に白い雲と青い空が反射して映る美しい光景と、バリバリという時に激しい風の音が印象的な映像作品。そこに映る微動だにしない人影の存在が、大変ちっぽけにも神々しいものにも思えて不思議だった。アジア地域からの出品作家は15名。現在の環境や、それぞれの国の歴史の文脈、そのなかでの社会通念や倫理的問題など、各作家が扱うテーマと物語性を孕んだ作品は、偏りのないバランスで構成されていて、全体的にとても見応えのある内容。もっとゆっくり見たかった。

2009/08/07(金)(酒井千穂)

2009年09月15日号の
artscapeレビュー