artscapeレビュー
2012年05月15日号のレビュー/プレビュー
プレビュー:森村誠「Daily Hope」
会期:2012/05/03~2012/06/03
TOKIO OUT of PLACE[東京都]
森村誠の個展が東京で開催されている。昨年末、大阪にできた共同アトリエを訪問した際に初めて知った作家だが、雑誌や書籍などを用いたインスタレーションが記憶に新しい。印刷物上にある“THOMAS”という6つのアルファベット以外の文字を全部修正液で塗りつぶした《Dear Tomas》はそのエピソードも面白かったが皮肉とユーモアも効いていた。今展では、床一面に敷き詰めた作品の上を来場者が歩きながら鑑賞する作品を発表。夥しい文字の中から“HOPE"という文字を浮かび上がらせる。
2012/05/15(火)(酒井千穂)
カタログ&ブックス│2012年5月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
再考現学/Re-Modernologio
青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)で開催された展覧会「再考現学/Re-Modernologio」のカタログ。「衣食住から社会をまなざす」「観察術と記譜法」「痕跡の風景」という三つのフェーズで開催された展覧会に沿うかたちで、関連する論考などが掲載された三巻からなる。
Magazine for Document & Critic:AC2 No.13
国際芸術センター青森が、2001年の開館以来、およそ毎年1冊刊行している報告書を兼ねた「ドキュメント&クリティック・マガジン エー・シー・ドゥー」の第13号(通巻14号)。2011年度の事業報告とレビューのほか、関連する対談や論考などを掲載。
GCAS Report
学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻による研究年報の創刊号。アーカイヴズ学に関する講演や論文、研究ノートなどを掲載。下記HPより取り寄せが可能 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻HP=http://www.gakushuin.ac.jp/univ/g-hum/arch/
北川貴好 フロアランドスケープ──開き、つないで、閉じていく
「開く」─穴をあけることによって、エネルギーを胎動させる。「つなぐ」─穴を通して入ってくるもの同士をつなげる。「閉じる」─新しい秩序、新たにつながった関係を維持させる。床の上に無数にあけられた穴。床に閉じられたエネルギーが無数の穴を通じて表出する。そのエネルギーの源を想像し、それによって生まれる周辺、つまり環境を作り上げる。いくつかの環境のシーンが、一枚の床の上に生まれ合うとき、一つの風景〈ランドスケープ〉が浮かび上がる。[北川貴好]
アサヒ・アートスクエア、オープン・スクエア・プロジェクト2011企画展「北川貴好 フロアランドスケープ─開き、つないで、閉じていく」に合わせて制作されたカタログ。
展覧会サイト=http://asahiartsquare.org/floorlandscape/
未像の大国──日本の建築メディアにおける中国認識
日本の建築界は「技術」と「社会」と「場所」の三つの視点から、中国の動静に目を配り続けてきた。明治の時代から建築専門誌が報じた記事の数々を読み解くと、印国を完全な他者として捉えきれない日本の姿が浮かび上がる。『建築雑誌』『新建築』『日経アーキテクチュア』に掲載された膨大な中国関連記事を渉猟しながら、つねに揺れ動いてきた日本人の中国観の変遷をたどる。日本と中国を拠点に活動する建築家による、まったく新しい中国認識の歴史。[本書帯より]
2012/05/15(火)(artscape編集部)