artscapeレビュー

2015年07月15日号のレビュー/プレビュー

夏果て幸せの果て

会期:2015/06/03~2015/06/09

東京芸術劇場 シアターイースト[東京都]

東京芸術劇場にて、大森靖子×根本宗子「夏果て幸せの果て」を観劇した。コンビニのエアコン修理で邪念を払うバイトたち/彼氏と連絡がつかず、バイトを欠席し、妄想にふける女性=大森/根本の部屋が、上下で同時進行する物語だ。独特の空間演出だが、笑いありで面白い。野外のフェスで大森の歌を聴いたときより、このサイズの室内でアコースティック・ギターだと、もっと強く歌が響く。

2015/06/04(木)(五十嵐太郎)

横浜スタジアム

[神奈川県]

横浜スタジアムにて、横浜DeNAベイスターズ vs 福岡ソフトバンクの試合を観戦する。久しぶりに野球を見たが、ホーム側がぼろ負けの試合なので盛り上がらない。このスタジアムは都市の中に存在するため、隣にある役所のほか、まわりのビル群が客席から近接してよく見える。また、遠いみなとみらいも高層建築なので、一緒に視界に入り、街に囲まれた雰囲気が興味深い。

2015/06/04(木)(五十嵐太郎)

藤原更「La vie en rose Phosphorescences」

会期:2015/05/22~2015/06/20

EMON PHOTO GALLERY[東京都]

藤原更が2012年に同じEMON PHOTO GALLERYで開催した「Neuma」は、なかなか印象深い展示だった。大判のインスタントカメラのフィルムで、蓮の茎や葉、水面などを撮影した画像をスキャンして拡大した作品は、緩やかにうねりつつ流れる音楽を画面に封じ込めたような、繊細な触感を感じさせた。だが、今回の「La vie en rose Phosphorescences」では、同じ色彩とマチエールの音楽でも、まったく異なる印象を与えるものになっている。
「La vie en rose」というのは、いうまでもなくエディット・ピアフの名曲「ばら色の人生」からとられたタイトル。藤原が2014年に参加したフランス・アヴェロン県で開催されたフォト・フェスティバルの共通テーマだったのだという。タイトル通りに、今回は薔薇の花をクローズアップで撮影した作品が並んでいた。透明な素材にプリントする、布にプリントして天井から吊り下げる、アルミ板に反射させて奥行き感を出すなど、さまざまな工夫を凝らして、薔薇の宇宙に包み込まれるようなインスタレーションを試みている。つい「花肉」という言葉を使いたくなるような、ぬめりを帯びた生々しい触感と、ヴィヴィッドな原色の使用が、このシリーズを特徴づけているといえるだろう。本作はソウル、ニューヨークでも展示され、好評を博したようだが、まださらなる展開がありそうだ。薔薇の象徴性とエロス性を、より強く打ち出していくことで、作品の強度をもう一段上げていってほしい。薔薇と他の被写体(たとえば人の )などとの組み合わせも考えられそうだ。

2015/06/05(金)(飯沢耕太郎)

椛田ちひろ──Following the Shadow

会期:2015/05/29~2015/06/21

アートフロントギャラリー[東京都]

ボールペンで描くというか塗るというか引くというか、とにかくインクの線で面を埋めていく作業。塗り込められた中心部は黒々(正確には濃い青紫)しているが、周縁は線がまばらになるので髪の毛か、もっと離れれば雲か波のようにも見えてくる(タイトルから察するに作者は影を意識したらしい)。圧巻は、全長20メートルはあろうかという鉄板の表面にドローイングしたもの。鉄板は渦巻き状に床に置いてあるので、全体を見るにはグルッと回り込まなければならない。線の束もうねってるように見えるので、支持体と表面が呼応しているともいえる。しかしこれは会期後どうやって保管するんだろうと、余計な心配。

2015/06/05(金)(村田真)

TWSエマージング2015

会期:2015/05/23~2015/06/21

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]

謝花翔陽「芸術≒呪術の関係性を熟考する」。大崎土夢「2、3秒前に考えたことを忘れる」。笹本明日香「わたしだけが異星人」。三者三様の思考と作品を比べるのはおもしろいけど、それぞれ個展としてみるとものたりない。

2015/06/05(金)(村田真)

artscapeレビュー /relation/e_00030225.json s 10112961

2015年07月15日号の
artscapeレビュー