artscapeレビュー
2009年06月01日号のレビュー/プレビュー
東京アンデパンダン展
会期:2009/04/21~2009/05/17
gallery COEXIST/are space COEXIST[東京都]
横浜とほぼ同時期に開催された東京のアンデパンダン展。横浜では団体展系の作品ばかりで占められていたが、東京では美大生系の作品ばかりだった。ただたんに年齢層のちがいなのか、それとも文化的なトライブのちがいなのか、極端に偏っているのがなぜなのかわからない。せめて双方が同一会場で合流していれば、予定調和的な「アンデパンダン」を払拭できていたのではないだろうか。
2009/05/14(木)(福住廉)
西野達「バレたらどうする」
会期:2009/05/09~2009/06/13
ARATANIURANO[東京都]
アーティスト、西野達の個展。ギャラリーの天井がずり落ちてきたようなインスタレーションのほか、画廊内の壁を貫通した街灯、家具や日常用品を頭上に垂直に積み上げて街を歩く姿を撮影した写真作品を発表した。「日常風景の異化」というフレーズが陳腐に思えるほど、徹底してやり尽す潔さが気持ちいい。
2009/05/14(木)(福住廉)
日野田崇 個展「変形アレゴリー」
会期:2009/05/16~2009/06/13
イムラアートギャラリー[京都府]
漫画の語法を大胆に導入した陶オブジェで知られる日野田。今回は、邪鬼らしきものを踏んづけてポージングする2体と、葱坊主のような1体、内と外の区別がない抽象的な形態のオブジェ2点、土下座のようなポーズで壁面に貼りつけられた1体などが出品された。オブジェの表面はグラフィティー調の絵で埋め尽くされ、刺青のよう。会場の床と壁面には、カッティングシートによる漫画のコマや記号を思わせる模様が貼られている。陶芸が持つ質感やリアリティを残しつつも、どんどん立体と平面が融合した世界へ進みつつある日野田の現状が良くわかった。
2009/05/16(土)(小吹隆文)
遠藤一郎 個展「Super Canvas」
会期:2009/04/11~2009/05/16
清澄白川FARM[東京都]
未来美術家・遠藤一郎の個展。卒展を終えた後の美大で大量に廃棄されたキャンバスを会場の床や壁の全面に敷き詰め、その上におびただしい手形と、遠藤の十八番である単純明快なメッセージを描きつけた。美大生の集大成ともいえる絵画作品の上に踊る「未来へ」「旅は終わらない」という文字は、とくに明るい未来がないまま旅に出発しなければならない美大生への応援歌のように見えたが、ことは美大生に限るわけではないだろう。いまや誰もが同じように未来に向けた旅を続けなければならないからだ。
2009/05/16(土)(福住廉)
Chim↑Pom 捨てられたちんぽ
会期:2009/05/16~2009/05/17
ギャラリー・ヴァギナ(a.k.a.無人島プロダクション)[東京都]
Chim↑Pomの新作が二日間限定で急遽公開された。ホワイトキューブに仕立てられた会場に入ると、正面の壁に、ただひとつ、男性性器がとりつけられている。「よくできたFRPだな」と感心していたら、時折ニョキニョキと動き出したから「電動仕掛けにして工夫したのかな」と思ったけど、よくよく考えてみたらChim↑Pomがそんな手の込んだ機械をつくるわけがない。そこで初めて気がついた。おい、水野! おまえ、壁の向こうからちんぽだけ出してるだろ! そう、この作品は文字どおりChim↑Pomにとっての原点回帰を告げる記念碑である。いろいろあったけど、初心忘れるべからず。もう一度ここからやり直そう、ということなのだろう。
2009/05/16(土)(福住廉)