2018年05月15日号
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artscapeレビュー

MOT アニュアル2011「Nearest Faraway──世界の深さのはかり方」

2011年05月15日号

会期:2011/02/26~2011/05/08

東京都現代美術館[東京都]

11回目の「MOTアニュアル」。今年は池内晶子、椛田ちひろ、木藤純子、関根直子、冨井大裕、八木良太の6人の作家が紹介された。カラフルなスーパーボールやキッチン用のスポンジを用いた冨井大裕の作品、池内晶子の白い糸を張り巡らせた空間、ボールペンの夥しい筆致の迫力と細やかさに目を見張る椛田ちひろの巨大な作品、光と影の穏やかな移ろいを密やかに提示した木藤純子のインスタレーションなど。身近にある素材やさまざまな物事を手がかりにシンプルな手法で作品を展開する作家達の展示は、どれもそれぞれに繊細で、些細であってもなにかしらの「気づき」や驚きを与えるものであった。こちらが積極的に作家の意図や心中を推し量って想像力をフルに働かせることではじめて堪能できるというデリケートな要素も強い展覧会で、会場全体に静かな緊張感が満ちている。順路最後は、カセットテープが巻き付けられたボールをプレイヤーにセットし、そのテープの音に耳をかたむけるという八木良太の作品空間だったが、ここで少しほっこりと気分が和んだ。とても良い順番だったし興味深い内容の展覧会であった。ただ、開館時間が短縮されていると美術館に着くまで知らず、同時開催の田窪恭治展を断念してしまったのは心残り。

2011/03/30(水)(酒井千穂)

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