2018年02月15日号
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artscapeレビュー

開廊30周年記念「馬文(ジェニファー・ウェン・マ):浪ー墨春(Jennifer Wen Ma, Tide-Inked Spring)」

2011年05月15日号

会期:2011/04/08~2011/04/30

アートスペース虹[京都府]

開廊30周年記念の企画展。ギャラリー壁面に設置された棚に合計12本の小さなしだれ桜が並べられていた。花をつけているものが多いのだが、どれも違和感がある。よく見ると木も枝も墨が塗られていて、葉もところどころ黒かった。最初は全体を真っ黒に塗ったものだったのだという。ギャラリー中央には、大きな石が置かれ、凹みに墨汁が張られている。その水面に浮かぶ白い布をスクリーンにして、筆が線を描く映像が映し出されていた。庭園のような設えの美しい空間なのだが、アーティストは日本人ではないだろうとピンとくる来場者も多かったと聞いた。木を墨で塗るという感覚が相容れない感覚なのだ。しかし、会期中のそれぞれの時間のうつろいを示していた小さな桜は、花を咲かせているものも散ってしまったものもじつに可憐だった。作家とはメールなどでやり取りをし、すべての展示はギャラリーのオーナー熊谷さんが手がけたのだという。開廊以来、さまざまな作品を紹介し、多くの作家を世に送り出してきた小さなギャラリーの歴史を如実に物語るような展覧会でもあった。

2011/04/16(土)(酒井千穂)

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