artscapeレビュー
アンフォルメルとは何か?
2011年05月15日号
会期:2011/04/29~2011/07/06
ブリヂストン美術館[東京都]
第2次大戦後のパリで起こった非具象絵画運動「アンフォルメル」。導入部ではマネ、セザンヌ、モネからピカソ、モンドリアンへと形象が次第に崩れていく過程を示し、フォートリエ、デュビュッフェ、ヴォルスらの「不定形」絵画へと入っていく。ミショー、アルトゥング、スーラージュら忘れかけていた名前と作品に久々に出会った。ポロックの小品もあったが、同時代のアメリカの抽象表現主義と比べて全体に小ぶりで人間臭く、どこか伝統を断ち切れてない印象がある。日本では「アンフォルメル旋風」の吹き荒れた50~60年代の一時期を除いて抽象表現主義のほうが評価が高かったような気がするが、それはフォーマリズムを受け入れたとかそういう話ではなく、単にアメリカの影響力が強まったからにすぎないだろう。だって日本の前衛絵画の大半はアンフォルメルに近いもん。作品は自館のコレクションをはじめ日本中の美術館から集めているが、石橋財団がこれほどアンフォルメル作品を持っていたとは驚きだ。それにしても海外からの出品がすべて(といっても4点だが)キャンセルされたのは残念。とくに原発大国フランスは過敏だ。
2011/04/28(木)(村田真)