2018年05月15日号
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artscapeレビュー

浅見貴子 展──光合成

2011年05月15日号

会期:2011/03/18~2011/04/10

アートフロントギャラリー[東京都]

雲肌麻紙に描いた水墨画。画面いっぱいにサイズも濃淡も異なる点々がうがたれ、その間を枝のように細い線が走っている。一見植物のように見えるが、表現主義的な抽象と見てもいい。これって、今年初めの「『日本画』の前衛」展にも出ていた船田玉樹の絵に似ているなあ。そういえば船田もアートフロントのバックアップで再評価された画家だし。でも似ているのは表面だけで、文字どおり裏面が決定的に異なっている。雲肌麻紙に表裏があるのかどうか知らないけれど、浅見は紙の裏側に描き、墨が染み出た表を見せるというのだ。つまり描いてるときは完成作とは左右逆になってるわけ。時間軸でいうと、ふつうの絵とは逆に、初めに描いた部分が画面の手前に見え、後で塗り重ねた部分は背後に隠れることになる。とくに油絵だと絵具を徐々に塗り重ねて完成させていくので、表に現われるのは最後の筆跡ということになり、このように表裏逆転した絵というのは想像がつかない。大げさにいうと、過去の光ほど遠ざかって見える相対性理論を思い出させる。あ、ここでは過去の筆跡ほど手前に見えるから逆だ。ともあれなにか創造の原点に触れるような試み。

2011/04/04(月)(村田真)

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