2017年07月15日号
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artscapeレビュー

セザンヌ──パリとプロヴァンス

2012年05月15日号

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会期:2012/03/28~2012/06/11

国立新美術館[東京都]

ああセザンヌか、何年ぶりだろうくらいの気分で、つまりなんの期待も感慨もなく見に行った。展覧会は「初期」「風景」「身体」「肖像」「静物」「晩年」の6章立てで、「初期」では「よくこんなヘタクソなのに画家を目指したもんだ」とあきれるほど稚拙な作品が並び、先が思いやられる。とくに別荘のために描いた装飾画4部作《四季》には開いた口がふさがらない。……と思ったら、「風景」では《首吊りの家、オーヴェール=シュル=オワーズ》をはじめ、2点の《大きな松の木と赤い大地》《サント=ヴィクトワール山》など、いかにも構築的で「画面コンシャス」な傑作が並んでいて感激。さらに「肖像」では、自分の奥さんなのにちっともきれいに描こうとしてないのが潔い《赤いひじ掛け椅子のセザンヌ夫人》や、そのままピカソに接続しそうな《アンブロワーズ・ヴォラールの肖像》もあるではないか。また「静物」では、美術の教科書に必ずといっていいほど載ってる《りんごとオレンジ》がオルセー美術館から来ている。もうこの数点だけでこの「セザンヌ展」はすばらしいと言い切ってしまおう。サブタイトルにもあるように、同展のテーマは画家が往復しながら制作した「パリとプロヴァンス」なのだが、そんなテーマなどかすんでしまうくらい作品がいい。これはオススメ。「ポロック展」でもそうだったが、展示室の最後にプロヴァンスのアトリエが再現されていた。

2012/04/02(月)(村田真)

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