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artscapeレビュー

京都府庁旧本館 春の一般公開(観桜会) ECHO TOUR 2012

2012年05月15日号

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会期:2012/03/20~2012/04/01

京都府庁旧本館[京都府]

明治37(1904)年の竣工から昭和46年まで、京都府庁の本館として使用された京都府庁旧本館。現役の官公庁建物としては日本最古のもので国の重要文化財にも指定されている。ここで2009年度より、春の一般公開のときに造形作品の展示、演劇、ライブパフォーマンスなど、京都を中心に活躍するアーティストたちがそれぞれの発表をする「ECHO TOUR」が行なわれている。今年は作品展示に、矢津吉隆、前川多仁、大倉尚志、松谷真未、小川剛、ヒデキアリチ、カリーナ・ビョーク、日菓、したてひろこが出品作家として参加。重厚な趣きの館内それぞれの空間に作品が展示されていた。作品のなかでは、3.11以降ネットなどのメディアで語られた陰謀論をモチーフにしたインスタレーション《君たちの想像力は地球を貫く》や、文明の象徴としての「火」が燃えつづける3DCG映像《絶えない火》など、矢津吉隆の発表作品が特に印象に残る。このイベントには「作家がその場所と“ECHO=反響”するように表現する」というテーマがあるのだが、矢津の作品はこの場の固有性も含め、展示全体が重層的な世界と歴史に思いを巡らせるものになっていて、その点でもじっくりと堪能したい空間だった。館内では展示の他に、小さな工芸品や手芸品などを販売しているコーナーもあり、作品を手に取って楽しむ場にもなっていた。私もそこにあった陶芸家の藤田美智の小さな陶器作品がすっかり気に入って花瓶を購入。建物や展覧会だけでなく、新たな出会いも楽しめる機会だった。


ECHO TOUR 2012 京都府庁旧本館展示風景

2012/04/01(日)(酒井千穂)

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