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artscapeレビュー

ボストン美術館──日本美術の至宝

2012年05月15日号

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会期:2012/03/20~2012/06/10

東京国立博物館[東京都]

ボストン美術館が所蔵する日本美術の過去最大規模の里帰り展。日本美術には疎いぼくにも、アメリカに流出しなければ国宝になっていたであろう作品がいくつもあることくらいはわかる。とくにスゴイのが、繰り返し現れる赤い柱がモダンな《吉備大臣入唐絵巻》と、群衆や火炎の表現が目を惹く《平治物語絵巻》。これは間違いなく国宝もの。近世ではなんといっても曾我蕭白だ。まるで赤塚不二夫のマンガみたいにデフォルメされた《風仙図屏風》や《商山四皓図屏風》など10点ほど出ているが、やっぱり総延長10メートルを超す《雲龍図》にトドメを刺す。これは千葉市美の「蕭白ショック!!」よりショック度は大きい。とても充実した展覧会だった。以下余談。カタログ冒頭の「あいさつ」は展覧会の経緯と概要を述べる場所だが、ボストン美術館館長マルコム・ロジャースによる「メッセージ」には、「30年前、ボストン美術館の展覧会が日本で開催され」たとき「一人の若い学生が仙台から東京に足を運」んだが、「その学生が今や、本展覧会の共同キュレーターとなって」いるエピソードを紹介している。まさに血の通ったメッセージであり、名無しの「日本側主催者」による当たり障りのない「ごあいさつ」とは雲泥の差だ。ここらへんから意識を変えていかなければならないのではないか。

2012/04/19(木)(村田真)

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