2018年12月01日号
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artscapeレビュー

2017年06月01日号のレビュー/プレビュー

ドメネク・イ・モンタネール《アントニ・タピエス美術館》

[スペイン]

出版社を改修した《アントニ・タピエス美術館》へ。ドメネク・モンタネールによる装飾的なファサードだが、内部に入り階段を降りると、天井からの採光のある、細い鉄の柱が林立する白い大空間の吹抜けに息を飲む。上部は蔵書室だ。企画展は、大量の絵葉書で4面の壁を覆うインスタレーションだった。地下では、タピエスに関連したコレクション展を開催していた。

2017/03/30(金)(五十嵐太郎)

アントニ・ガウディ《カサ・ミラ》《カサ・バトリョ》

[スペイン]

ガウディの《カサ・ミラ》へ。人工的な丘を散歩するような屋上の楽しさはハンパない。居室はこれだけ広いと、変則プランで使いにくいといった些細なことは、気にならないだろう。何よりも中庭ほか外気に触れる部分が多く、ガラスを通じて採光し、その明るさに、壁構造から脱却したモダンの精神を感じる。《サグラダ・ファミリア》よりも、空間の体験が面白い。続いて、伊東豊雄のガウディへのオマージュと言うべき仮面のホテルを過ぎて、《カサ・バトリョ》へ。これは大小さまざまな開口にいろんな仕掛けがあって興味深い。カテナリー曲線はここでも多用されている。ガウディの建築はどれも入場料が高いが、おそらく値下げするともっと行列が長くなるのだろう。観光客も非日常のテーマパーク的に空間を受容している。

写真:左=《カサ・ミラ》 右上=伊東豊雄《スイーツアベニュー》 右中・右下=《カサ・バトリョ》

2017/03/31(金)(五十嵐太郎)

フェルミン・バスケス《エンカンツ蚤の市》ほか

[スペイン]

エンカンツの蚤の市へ。前に来たとき閉まっていたが、これは絶対に多くの人で賑わう開催日に見るべき空間だ。店舗を配したスロープがスパイラル状に続き、その上に高く大屋根を架ける。天井がランダムに傾く鏡面仕上げで、見上げると雑踏や周囲の風景が混ざり、ダイナミックさを増幅する。ある意味でこの乱暴さは、卒計に出てきそうな案だが、現実の建築ゆえに、周囲にはデザイン博物館、モネオの《ラウディトリ》、ボフィルの《カタルーニャ国立劇場》、エンカンツの蚤の市などの現代建築群が並び、それらとの相乗効果が起きている。

写真:左・右上=《エンカンツ蚤の市》 右下=《カタルーニャ国立劇場》

2017/04/01(土)(五十嵐太郎)

TAPAS. Spanish Design For Foodほか

バルセロナ・デザイン博物館[スペイン]

日本でも巡回していたらしいタパス展は、食に関するデザインがいろいろと並ぶ。ワイナリーの建築群も紹介する。常設は現代のプロダクト、近代以前の装飾、ポスターグラフィックなどのセクションが各階ごとにあるが、ずば抜けてファッションの歴史展示が素晴らしい。時代ごとのファッションの変遷を、身体のどの部分を強調・誇張するものかをワンポイントで明快に示す。ほかのフロアとあまりにレベルが違うキレのよさに舌をまく。

写真:左上から=バルセロナ・デザイン博物館、常設展 現代のプロダクト、近代以前の装飾、ポスターグラフィック、右上=タパス展、右中・右下=ファッションの歴史展示

2017/04/01(土)(五十嵐太郎)

《カタルーニャ歴史博物館》、フランク・ゲーリー《FLYING FISH》

[スペイン]

海辺の《カタルーニャ歴史博物館》へ。倉庫を改造したもので、長いスロープがえんえん続く巨大な吹抜けを内部に抱える。最頂部に眺めがよいレストランを置く。2階の常設のみ開催中だった。ここからバルセロナオリンピックを契機に開発されたエリアを歩く。途中、五輪から25周年を記念する掲示もあった。そしてオリンピック村のホテル、カジノ、商業施設に囲まれたゲーリーの魚のオブジェにたどり着く。わざわざ見に行くべきか迷っていたが、神戸の《フィッシュダンス》をはるかに超えるデカさで、そのバカバカしさに感心する。来てよかった。ビルバオの美術館も街並みに対する絶妙なスケールだったし、彼の大きさの感覚は面白い。

写真:左=《カタルーニャ歴史博物館》、右=《FLYING FISH》

2017/04/01(土)(五十嵐太郎)

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