artscapeレビュー

佐伯祐三とパリ──ポスターのある街角

2012年06月01日号

会期:2012/04/28~2012/07/16

大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室[大阪府]

佐伯祐三(1898-1928)は近代日本洋画を代表する画家の一人。彼はパリの街角を題材に多くの傑作を残した。本展は、佐伯の代表作に、1920年代前後のパリの街角を飾った実際のポスターをあわせて紹介するもの。画家としての佐伯祐三の生涯は、通常、渡欧までの初期(1898-1923)、第一次滞欧時代(1924-26)、一時帰国時代(1926-27)、第二滞欧時代(1927-28)の四期に分けられる。とくにパリは遠い異国からやってきた若い画家の創造の源泉となり、画家はパリの街角を凝視し続けたのである。彼が滞在していた、20世紀初頭のパリといえば、ポスターが日常生活に密着した身近なものであった。いわゆるヨーロッパ・ポスター芸術の黄金時代。アール・ヌーヴォーやアール・デコといった芸術運動のなかで、芸術性の高いポスターが数多く制作され、トゥールーズ=ロートレックやミュシャ、シェレなど、たんなる職人ではない、人気ポスター作家も現われた。ポスターは、当時、佐伯祐三が魅せられた芸術の都パリの街角の息吹を伝えてくれる。[金相美]

2012/05/01(火)(SYNK)

artscapeレビュー /relation/e_00017444.json l 10031869

2012年06月01日号の
artscapeレビュー