artscapeレビュー
草間彌生 永遠の永遠の永遠
2012年06月01日号
会期:2012/04/14~2012/05/20
埼玉県立近代美術館[埼玉県]
草間彌生の近作を見せる展覧会。《愛はとこしえ》シリーズと《わが永遠の魂》シリーズからあわせて80点あまりが一挙に展示されたほか、南瓜をモチーフとした立体作品や巨大なバルーンの作品、鏡と水によって光を無限反射させる《魂の灯》なども発表された。
たしかにエネルギーに満ち溢れてはいる。むしろ以前にも増して横溢しているかのようだ。だが、それを的確に感じるには、少々会場が狭すぎた。団体展のような二段がけの展示方法はともかく、一つひとつの絵をじっくり鑑賞させるための適度な距離感が満足に確保されていないため、絵のなかの息が詰まるような圧迫感や何かに追われるような焦燥感はよく伝わってくるものの、草間絵画の真骨頂ともいえる抜けるような解放感はあまり感じられなかった。この美術館の天井の低さが、そのような印象を強くしていたことはまちがいないだろう。
「永遠の永遠の永遠」と言うのであれば、もっと広大な空間でその無限反復を見せるべきだったように思う。
2012/05/12(土)(福住廉)