artscapeレビュー

イケミチコ個展─神経の再生

2012年06月01日号

会期:2012/05/17~2012/05/27

LADSギャラリー[大阪府]

会場に入ってまず目につくのは、巨大な機械型の立体作品だ。作品名は《神経再生マシーン 希望号》。ワイングラスにメッセージを書き込み、ベルトコンベアーに載せてモーターを作動させると、2メートル近い高さまで運ばれたワイングラスが落下して粉々に砕け散る。この「破片」は彼女の他の作品にも共通する要素で、本作の周囲には砕けたガラス片を用いたミクストメディア作品が並んでいる。また、奥の部屋には、人間の下半身に目が付いた雌雄両性の存在《未来人間》を描いた絵画とオブジェも。なんだかもう、笑ってしまうぐらいにパワフル&ポジティブ。ご高齢のベテラン作家とは思えぬ振り切れぶりに、こちらも元気をチャージさせてもらった。同時に、彼女は会場が大きいほど本領を発揮する作家であることを確信した。

2012/05/18(金)(小吹隆文)

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